Pleasure Assortment

趣味や好みの詰め合わせ。完全自己満足ブログなので多分にネタバレを含みます。

【小説】僕は長い昼と長い夜を過ごす / 小路幸也

最近、積読本が多すぎて消化しきれてない。。
感想を記したいけど追いつけてない。。
 
さて、初めての小路作品。
文庫にしては厚めだったけど、軽めの文章でするすると読めました。
 
 
50時間起きて20時間眠るという睡眠障害を抱えるメイジが、約2億円を拾ったことから裏の人間から狙われてしまう。
さらには実家の工場の経営危機、家族の過去・秘密も絡んできて・・・と、事件が事件を呼ぶ、みたいなスリリングさがありました。
 
どうやらこの作者は、癖のある家族モノが得意らしいので
他の作品も読んでみようかな。
 
 
【人生の転機は意外とあっさり訪れるものだ】
読後の感想、第一はこれでした。
2億円を手にしてしまったメイジ然り、服役中のナタネさん然り。
何気ない、普段どおりの日常のなかで、ふいに人生が変わるような出会いがあるものだよなぁ、と。
そして、大抵の場合、影響を与えた側には自覚がなかったりするよね。
 
恋愛だってそう。
マイコちゃんは看護師として働いていた病院でメイジに出会い、恋に落ちた。
でも、メイジはマイコちゃんの顔も覚えていなかった。
 
マイコちゃんは、数年後?再び邂逅したメイジを訪ねるけれど、これだって人生を変えようとか考えてのことではなかっただろうと思う。
(いや、偽名を名乗ったメイジを怒るために家まで行ったっていうのはものすごい行動力だし自力で人生を変えるパワーのある子だなとは思うけれども 笑)
 
結果としてマイコちゃんは非日常な世界に足を踏み入れて、メイジとも婚約するに至るわけだけども。
きっかけとなったメイジは意図して巻き込んだわけではない。でも、マイコちゃんの人生を変えたのはやはりメイジでしょうなぁ。
 
 
そう考えると、自分も知らないうちに誰かの人生を変えるような言動をしているのかもしれない。
それってちょっと怖いな、とも思う。
やっぱりいい影響ばっかりじゃないし。
 
一口のアイスキャンディで人生が変わったナタネさんは、本当に運がよかったんだと思う。
私だって、過去に一緒に働いた上司の存在がずっと糧となっているし、かなり影響を受けた。
巡りあわせ、だなぁ。
あの人に合わなければ今の自分はいない、って出合ったその時には思いもしない。
そこまで大げさでなくても、短い時間しか一緒にいなくても、結構影響を受けているものだしなぁ。
 
何が言いたいかわからなくなってきたけど、人は常に人生の岐路に立っているのだって思いましたのだ。
 
 
 
【お父さんを殺したのは誰だったのか】
これは・・・いろんな解釈があると思います。
 
山下さん達3人の誰か
ナタネさん
本当に強盗
幼き日のメイジ
 
個人的には、ナタネさんだったらもっとうまくやるかなーと思うし
メイジに恩返ししたいのに殺人なんて罪・リスクを犯すか?と疑問なので、ナタネさんはないかな。
 
うーん、真相は解明されないが、登場人物の誰も真実を明らかにしたいと思っていない、そんな終わり方もあるんですね。
なんだか斬新でした。
 
 
 
読めた展開もあるけど、さすがにメイジ達の出生の秘密までは読めなかった・・・
お父さん鬼畜すぎってか、お母さん可哀想すきる。。
 
スリリングなだけではなく、家族の形についても考えさせられる作品でした。
 
次は東京バンドワゴンシリーズ、読んでみようかなー。